82号夢幻賞&品評会

【夢幻賞】

 

1位 凪宵悠希『風鳴』

2位 浅上皐月『鼠と屍』

3位 月島かな『青いペッパー、ピリリと苦い』

 


 

こんにちは、飴宮すみです。遠隔授業、どうですか!?先生も友達も居ずに一人で勉強していくのって、なかなか辛いです…そして部員にも会えないのが悲しい!次に部室でごろごろできるのっていつなんだ…!?次行けたら、三日くらい部室に泊まりたい。嘘です。

 

 

82号品評会のスケジュールはこちら。

 

【1日目】 5月16日(土)

  • 神田遊楽『異世界は救うべき君のために《前編》』
  • 武見倉森『Hourglass』

【2日目】 5月17日(日)

  • 月島かな『青いペッパー、ピリリと苦い』
  • 凪宵悠希『風鳴』
  • 浅上皐月『鼠と屍』

 82号のテーマは「青」です。

 

今回は大学の入構制限のためSkypeで実施でした…!

 

【1日目】

神田遊楽『異世界は救うべき君のために《前編》』

義理の娘を探しに行った高校教師の和泉。その義理の娘である小桜。どこにも居場所を持たない早。三人は同時に異世界に跳ばされた。小桜が魔王に囚われていることを知った和泉は、道中で知り合ったネーベルと共に彼女を救いに行く。一方で早は、彼女たちを異世界に送った張本人であるという神と共に、世界を変えるための旅に出るのだった。

 

安定の読みやすさで、今までの作品とも比べて成長を感じられた、動機が自然だった、後編が楽しみ!という声が聞かれました。

指摘としては、ネガティブなモノローグにくどさを感じた、異世界を書くなら生活感が欲しかった、視点切り替えで誰の話を読んでいるかわからなくなるのでキャラクター表がほしい、ということがあげられました。

前編後編で分けてしまうと、品評が活かせない…と作者さん。わかる。ストーリーに関しては変えるの難しいよね…

 

武見倉森『Hourglass』

煽り文が「ひっくり返すと良い」そしてタイトルが「Hourglass」ということで、物語中でも色々と対になっています。〈ケア〉が好きで、そのためにギャングに追われているデイジ。彼は街の希望でありヒーローだった。そんなデイジはある日突然「わたし」の前に姿を現した。半ば強引に連れていかれたのは街のそと、「マイル・ナラティヴ」だった。

 

80号に引き続き、読んでいて「わからない」ことの気持ちよさを目指した作品。作者さんの意図どおり煙に巻かれた印象を抱く人が多かったです。

地の文の読みやすさや固有名詞のセンスを評価した人が多かったです。この路線で行くと本当に読者を楽しませられるのか、という意見がありました。展開に不完全燃焼感がある、という指摘がありました。

あくまで「心地よい」わからなさという絶妙のラインを書けるのはさすがですね!

 

【2日目】

月島かな『青いペッパー、ピリリと苦い』

「ペッパー」があだ名の主人公、別府は何かにつけて話しかけてくる茅嶋のことを面倒くさいと思っていた。ある日クラスに転校生の佐久間がやってきた。彼はすぐにクラスの人気者になったが別府はそんなところが逆に嫌いだった。しかし突然彼に放課後に呼び出されてから、別府と佐久間の関係は変わっていく。そんな様子は見た茅嶋は―

 

茅嶋のキャラが好きだった、読みやすかった、綺麗で感情描写が良かった、という声が聞かれました。嫌なところがない、今までと変わって、読者に歩み寄った感じがしたという意見がありました。

当たり障りがない、というのが良い点でも悪い点でもあるということでした。キャラクターに物語性があってよかった、という意見がありました。

月島先生は引退後も独自に小説を書き続けていくそうです!ぜひ読んでみてくださいね。

 

凪宵悠希『風鳴』

インラインスケートに励む中学生、睦。彼は風を感じることが好きで誰かと競うことはしなかった。親友の蒼也と共に練習しているとき、相馬と出会う。彼に出会い、睦のスケート人生は大きく変わっていく。やがて高校生になった彼らは出会いと別れ、衝突を超えて絆を育んでいく。

 

大賞に応募した作品ということで、完成度の高い作品でした。個性が立っていて、登場人物全員が主人公のように感じられ、アツかった、という意見が多かったです。

見た目にもっと気を使ったほうがいい、ルビが必要という指摘がありました。前半のテンポが若干遅い、という意見がありました。

キャラクターが魅力的で、続編があるならぜひ読んでみたい作品でした!

 

浅上皐月『鼠と屍』

高校入学一か月。伊波は、いじめっ子を水筒で殴って暴言を浴びせられた帰り、駅のホームで思った。「これはもう、死ぬしかない」―迫りくる電車に飛び込んだ。しかし、彼女はほぼ無傷で起き上がった。その翌日からいじめられっ子の「ネズミ」につきまとわれるようになり、伊波の日常は少しずつ変わっていく。

 

作品として死を扱っている重さと文章の軽さのギャップがウケた人とそうでない人に分かれた作品でした。恋愛っぽくないところやラストの綺麗さが評価されました。

タイトルと文章の雰囲気が食い違ってしまったという指摘がありました。自殺への動機が若干足りないのでは、という意見がありました。

萬屋には新鮮な独特の世界観が面白かったです…!

 

82号品評会まとめは以上!

次回は夏号品評会…!