【夢幻賞】
1位 六畳間一人『火と魚』
2位 神田遊楽『境界線上で』
3位 武見倉森『〈わたし〉が書くは誰がために』
三日前原稿をギリギリまでねばって間一髪のところで編集長に提出(締め切り二分前)、からの編集作業とブログ、SNSなどの広報のお仕事に追われている飴宮すみです。こんにちは。
二か月以上ある長~~~い春休みももうすぐ終わりです。皆さん元気にしてましたか~?早く部員の皆さん、そして新入部員の皆さんに会いたいです!!お花見したい!(ずっと言ってる)
さてさて81号品評会のスケジュールはこんな感じです↓↓
【1日目】 2月22日(土)
- 神田遊楽『境界線上で』
- 倉下げる『Voyager』
【2日目】 2月23日(日)
- 月島かな『かへり咲き』
- 武見倉森『〈わたし〉が書くは誰がために』
- 凪宵悠稀『梅のかにく』
81号のテーマは「黒」です。
今回は大学ではなく新宿のレンタルスペースで開催!たまには出張もいいですね。
一日目の記事が飴宮が、二日目は射水が担当します!
【1日目】
神田遊楽『境界線上で』
幼い頃に負った傷から、男性でも女性でもなく「無性」として生きてきた高校生、千尋。こんな自分では未来に何も遺せない、と日々を浪費していく中、出会ったのは路上ライブで人々を魅了する秋月天。天もまた「『無性』歌手」として名をはせる人物であった。この社会でマイノリティとして生きる二人の苦しくも幸せな閉ざされた世界が描かれています。
毎号作品を書いているので、まとまりがでてきた、読みやすいという声がありました。テンポがよく面白かったが、物語がうまくいきすぎてしまい、主人公にもっと苦難などのドラマがほしかったという指摘がありました。主人公たちの依存関係についてと、ラストの大団円の賛否について議論が交わされました。
倉下げる『Voyager』
テーマ作品で、詩です。言葉を扱う私たちの表現の限界について書いた作品とのこと。
品評会ではそれぞれが詩の解釈を語り合う流れとなりました。自分とは全く違った見解が聴けて面白かった……!ボイジャー、というのは宇宙船の名前で、地球の文明を載せ、誰かがそれを開けるまで広大な宇宙を揺蕩うもの。私たちに言葉表現の限界はあり、だから考えることにも限界があり……ということを考えて書いたそうです。深いですね。宇宙のような計り知れない闇に触れた気がします。
以上が品評会一日目のまとめです
【2日目】
はじめまして、新二年次の射水仁奈です。ここ数か月完全に幽霊部員と化しています。二日目の品評会のまとめをしていきますが、私実はこの品評会に参加してないんですよね。引き籠りが楽すぎるのが悪い。部誌と議事録はちゃんと読みましたが、細かいニュアンスがくみ取れていなかったら申し訳ないです。自宅警備楽しすぎるぜ。
月島かな『かへり咲き』
ふだんは高校生を主人公にした小説が多い月島さんですが、今回はおばあさんが主人公の一人称小説です。老いた人間の視点から認知症を描写しています。
全体を通しておばあさんらしい落ち着いた文章でしたが、淡々としすぎていて感情移入しづらいという指摘もありました。日常のかけひきが上手いという意見が多かったです。今回は凪宵さんも『梅のかにく』で老いと認知症を扱っているので、読み比べてみると作者の個性が見えて面白いかもしれません。
武見倉森『〈わたし〉が書くは誰がために』
作者自身に書いた覚えのない昔の文章と、それを今の作者が読み返して書いたあとがきという二つの文章で構成されています。前半の文章は、言葉選びが78号の『天狗』と似ており、風邪をひいたときの夢のように支離滅裂でいてどこか繋がりもあるものになっています。
品評会ではあとがきのおかげで成立しているという意見が出ました。前半の文章は深掘りのしがいはありますが、単体では意味がとりづらいです。しかしそこに自分の過去作との向き合い方に関するあとがきを入れることで、前半の文章の意味がわからないままでも全体として共感できる作品となっています。
凪宵悠稀『梅のかにく』
ホームヘルパーの青年がヘルプ先のご老人や自身の祖父を見て、老いについて考えるお話です。作中のホームヘルパーの仕事内容はフィクションです。
全体のバランスがよく、誰からも嫌われない話だという意見が多く出ました。主人公やご老人方の孤独感や、老いの寂しさの描写が巧みで共感しました。主人公が祖父の認知症と死について思い返しているシーンは切なくて特によかったです。しかし、ここ数回このようなきちんとまとまった話ばかりで退屈だという意見も出ました。
以上が品評会二日目のまとめでした。
次回は春号品評会!ぜひお楽しみに~
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