【夢幻賞】
1位 凪宵悠希『酒幻奇談』
2位 凪宵悠希『ほーむたうん』
3位 甘士河汀『You Are There』
こんにちは、葵です。かなり遅れてしまいましたが11月18-19日に行われた76号品評会についての報告です。品評会から1週間以内に担当者を決めてブログを掲載する、という決まりだったんですがおかしいですね。
AO入試も結果が出て、中には文芸部のことを調べてくれている方もいるのでしょうか。この部活はこれくらい緩くやっているのでぜひ春に見学に来てください。ただやるときはしっかりやっているというのが、この記事を読んでわかってくれたらなと思います。普段はみんな穏健派ですよ。
とここまで書きましたが、新入生はおそらく77号の品評会の記事を先に読むことに気が付きました。ここまでさかのぼってくることを願ってます。
さて、今回の品評会では
- 波多野琴子『告解』
- 月島かな『おみきかせ小噺』
- 凪宵悠希『酒幻奇談』
- 甘士河汀『You Are There』
- 夏野・ミルキーウェイ『まおくんはかわいいって言われたくない』
- 凪宵悠希『旅路』
- 凪宵悠希『ほーむたうん』
- 凪宵悠希『過ぎた日の詩』
の計8作について話し合われました。
波多野琴子『告解』
宗教色が強い作品ということで作者自身も掲載するかを考えたそうです。やはり中には宗教を持ち込むことに対して賛否が分かれましたが、確実に作者にしか書けない内容になっているとの意見が出ました。
多く指摘されたのはデティールの甘さでした。世界観の設定や小説の雰囲気に合わせた単語の選択、作中に出てくる手紙という形式、主人公の行動の動機やその意味、神の宗教関係なく物語中での都合のよさ、吸血鬼の意味など不自然、不適切ではないかという指摘がありました。
作者のオリジナル漫画のスピンオフという形のシリーズ小説の最終話ということでした。お疲れさまでした。
月島かな『おみきかせ小噺』
「酒の雨」をキーワードにし、連作としてまとめてある点はよかった。見開きで終わる形式なども評価された。一方、雨であることの意味や妖怪が出てくるなどリアリティラインで気になる点が多々あった。全体を通してあらは少ないものの、可もなく不可もなかった。各作品ごとの距離感やキーワードを生かし切れていない点が多く指摘された。また連作であるならばこのタイトルは不適切であった。
ただ一つの事象を多方向から浮かび上がらせる手法、やはり形式は評価された。
凪宵悠希『酒幻奇談』
こちらもお酒にまつわる連作であった。最近連作が続いているせいか、ここで連作に変化が欲しいという意見が上がった。一つ一つの作品の質は評価されたが連作としては題名のつけ方をはじめとして評価は低かった。作者は読まれないことを危惧し怖くないように書いたとのことだったが、実際は怖く読めたという意見も多く上がった。
甘士河汀『You Are There』
過去に向き合う方法や読みやすさ、戦闘描写など映像化しやすく書かれている点が評価された。ただ読むのには支障はないが深く考えると設定が不透明な点が指摘され、バディものであったが二人になるまでの状況や信頼関係の築き方にも疑問が出た。またこの作品でも題名が適していないと指摘があった。
夏野・ミルキーウェイ『まおくんはかわいいって言われたくない』
登場人物の特徴の出し方により見分けがつきづらいと、また同性愛のようなことが書かれていたがLGBT問題に発展させず、友情とも愛情とも言い難い点は評価されたが、どちらかに分類できた方が読者はわかりや数という指摘がった。他にも書き方にライトノベルなのか、ネット小説なのかなど、どこの文脈に置かれて書かれてたのかわかりづらさがあった。読みづらい点はいくつかあったが勢いで読ませる文章であることには間違いなかった、
凪宵悠希『旅路』
ストーリーのおもしろさが高く評価されたがその分指摘も多かった。まず多く上がったのが分量の少なさ。様々な点が指摘されたがその問題の原因はこの点読みどころの焦点の合わせづらさ、読み応えのなさ、デティールの甘さなどに繋がってしまっていた。
ただそれでも評価は高く読者におもしろく読ませる作品であった。
凪宵悠希『ほーむたうん』『過ぎた日の詩』
最初の作品は作者の住む街を書いたエッセイであった。おもしろく読め、娯楽性の高さが評価されたが、その町特有のものが少なく、Twitterなどの媒体でもよいのではないかという意見があった。エッセイの在り方が議論された。
二つ目の作品は詩の連作であった。ポップな詩でありおもしろいうという意見もあったが推敲不足が目立った。ただ今号は小説、エッセイ、詩と多岐にわたる作品集となった。
以上になります。詳しく知りたい方はぜひ萬屋夢幻堂を訪ねてください。部室では議事録を読むことができます。
今号は全体的に題名のつけ方が課題になっているように思えました。また連作、エッセイがおおく掲載されたことによって、他作品との差別化を図らなくてはならない状況になりました。次号、どのような作品が出てくるか楽しみです。
次回の品評会は
2月18日、19日、137教室で開かれます。興味のある方はぜひご参加ください。
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